最近読んだ本から…。
「ミニカーからすべてを学んだ」森永卓郎著
自分は特にマニアでもコレクターでもないのだけれど
著者の論理性と世界観に共感した次第。
2004年発行なので書店にはないかも知れないけれど
内容をちょっとだけまとめると
ミニカーの商品特性
ミニカーはブランド品のようにニセモノがないからネット販売に適していること。
そもそも金型を作るだけで数百万円のコストがかかり、マーケットも小さく、単価もそれほど高く設定できないのでニセモノ自体が存在しない。
高温多湿はミニカーの大敵であること
欧州の気候で保存された切手は100年たっても劣化しない。
ミニカーも同じであろう。
60年代のミニカーは省略の美学
自動車をそのまま縮小してもミニカーにはならない。
ピラーやドアミラー、モールの再現性が物理的に無理だったり、細かな作り込みをしていくとコストがかかりすぎる。
省略しなければならないということは、本物と違うものをつくらなければならないということ。
その中でどうやって本物に似せていくかは、木型、金型、塗装する人の感性の勝負になる。
90年代、ミニチャンプスの革命
余計なデフォルメを一切拒否して可能な限り実車に近づけようとしたこと。
そのことがひとつのアートになるということを実証した。
このような精巧なミニカーを可能にしたのは中国の安い人件費があったから。
さらに著者はイタリア大好き人間みたいだ。
とにかくイタリアのミニカーは美しい。造型も塗装の色合いも何とも言えない美しさがある。それを実現させているのはイタリア人が、イタリア国内でものづくりをしているからに他ならない。
イタリアの感性が創り出すミニカーは残念ながら日本ではできない。
環境に優しいとか最新のIT技術を搭載という機能的な付加価値もよいが、やはり大切なのは我々を惹きつけるデザインやスタイルであり、作り手の感性が感じられるもの自体の佇まいではないだろうか。
イタリアのミニカーのような感性溢れる製品は所有する喜びを与えてくれる。そして、きっと作り手も楽しく仕事をしている。そういうものが作れる国は幸せだ。日本の経済エリートたちもイタリアのミニカーを集めてそのすばらしさに気づいてくれれば、日本の未来も明るくなるのではないかと思う。
うーむ、ミニカーだけでこれだけの世界観と経済を語れるなんて素晴らしい!
1/43スケールの406クーペを引っ張り出してみる。
右からマジョレット(フランス)、ミニチャンプス(ドイツ)、ソリド(フランス)、GTS(フランス)
アプローチにどれも個性があってステキだ。
ミニチャンプスの精度は他を圧倒してるけど
雰囲気は自国メーカーに軍配をあげたい。
負けるなジャポン!