昨年、日本に導入されたルノーの新型クーペSUV『アルカナ』。
先に発売されたのは「R.S. LINE E-TECH FULL HYBRID」で、1.6L直列4気筒NAエンジン(最高出力94ps/最大トルク148 N・m)にメインモーター(最高出力49ps/最大トルク205 N・m)とサブモーター(最高出力20ps/最大トルク50N・m)2基のモーターを組合せたパワーユニットと、ドグクラッチを採用したトランスミッションを組合わせ、F1由来の技術をフィードバックした独自のフルハイブリッドシステム”E-TECH FULL HYBRID”を搭載した上級グレードだった。
今回試乗できたのは、昨年末にラインナップに追加された「R.S. LINE MILD HYBRID」で、こちらは1.3L直列4気筒ターボエンジン(最高出力158ps/最大トルク270N・m)と出力の小さな補助モーター(最高出力5ps/最大トルク19.2N・m)+リチウムイオンバッテリーで構成されるマイルドハイブリッドシステムに、おなじみとなった7速デュアルクラッチトランスミッション(7EDC)を組合わせたグレードとなる。
ボディサイズは全長4,570mm×前幅1,820mm×全高1,580mm。
スタイリングのトピックはやはりクーペスタイルのリアビュー。リアエンドに向かってなだらかに収束していくルーフラインはSUVらしからぬ優雅さとスポーティさを兼ね備えている。
ホイールベースは2720mmと、ワンクラス上のプラットフォームを採用する”メガーヌ スポーツツアラー”よりさらに10mm長くなっており、ボディ4隅にタイヤが配置され安定感と力強さを感じさせるスタイリングを実現すると同時に、室内空間の確保にも寄与している。
フロントマスクはモダンルノーを象徴するCシェイプ デイタイムランプを採用したヘッドライトが特徴的。
ちなみにボディカラーは、この試乗車の”オランジュ バレンシアM”の他、”ブラン ペルレM”、”ノワール メタルM”、”ブルー ザンジバルM”の4色が用意されている。
インテリアはブラックを基調とした比較的シンプルな佇まいですが、カラーステッチやカーボン調パネルを採用するなどスポーティな仕立てとなっている。後席の頭上やひざ前もクーペスタイルでありながら必要十分な空間が確保されており快適に過ごせそう。
今どきのクルマらしくメーターは10.2インチ フルデジタルメーターとなっている。また、センターには7インチ インフォテインメントシステムが備わり”Apple CarPlay”や”Android Auto”にも対応する。一方で空調などはリアルスイッチやダイヤルを配置し直接操作できるところが嬉しい。
ラゲッジはクーペスタイルから想像するより広々としており480Lを確保している。
取り外し可能なフロアボードを外せば大きな空間を作り出せるし、リアシートは6:4の分割可倒式となっているので様々な使い方ができそうだ。
パワートレインには、発進時や加速時にモーターがエンジンをアシストする”マイルド ハイブリッド”システムを搭載しているが、ドライブフィールはパワフルなターボエンジンが主体となっており、短い試乗時間では正直モーターの存在はほぼ感じられなかった。エンジン自体は1.3Lと低排気量ゆえ低回転ではややトルクの細さが気なるものの、ターボが効き始めた後は力強い加速も感じられストレスなくドライブを楽しめた。
また、高速道路の定速走行や赤信号などでアクセルを離した際の空走時に、エンジンがストップして燃料消費を抑える”クルージング機能”がついているのだが、その空走がどこまでも転がっていくような滑らかさで驚かされた。走行抵抗を極力減らして燃費向上を図っている。
アルカナの走りで特徴的に感じたのは、ルノーらしいハンドリングの良さ。
足腰のしっかり感と共に車体の軽さを感じ、このサイズのSUVとしては驚くほど軽快で気持ちよいハンドリングを実現している。さらにステアリングにはパドルシフトも備わり思いのままにシフトチェンジでき、これならばちょっとしたワインディングでもスポーツドライブが楽しめそうだ。
クーペスタイルSUVということでスタイリッシュながらもやや地味な存在に感じていた”アルカナ”でしたが、広い室内とラゲッジを備え、走りも燃費も良く、価格も比較的リーズナブル。非常にまじめに作り込まれた一台ということで、これはアリカナ?!と心の声が聞こえてくる試乗でした。
アルカナ R.S. LINE MILD HYBRID
<主要諸元>
全長×全幅×全高:4,579×1,820×1,580mm
ホイールベース:2,720mm
車両重量:1,380kg
エンジン:1.3リッター 直列4気筒DOHC ターボ
最高出力:116kW(158ps)/5,500rpm
最大トルク:270Nm(27.5kgm)/1,800rpm
補助モーター:最高出力3.6kW(5ps)、最大トルク19.2kW(2.0kgm)
トランスミッション:7段EDC
駆動方式:前輪駆動
燃料消費率:17.0km/L(WLTCモード)
February 11,2023 Sat
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JAIA輸入車試乗会2023