ネットを見ていたらプジョー604の話をしている人を見つけた。
1985年から4〜5年ほど所有していたので懐かしくなって、自分の昔のHPで当時のコンテンツを探して見た。
今読んで見ても、当時書いたことが全てですね。良い車でした。
2002.09.13 -------ラブ・フォーエバー604-------
プジョー604と聞いて姿が浮かぶ人はほとんどいないのではないでしょうか? 。504だとああ、あのハイエナみたいに腰の下がった奴ね、または昔の目がつり上がったのって言う人は多いと思います。でも604は?ってなりますよね。
当時だとシトローエンCX、ルノー25が同世代の競争相手です。日本には西武自動車が78年と79年に輸入したと言われています。(一説には25台づつとか、全部で75台との説もあります)
購入したのは5年落ち、新車時に600万円程度の車が150万円で購入でした。高いんだか安いんだか(^^; 。その頃はプジョーは人気がないどころかほとんどの人はメーカー名を知らない! 。205や309の人気が出るのは12年目に廃車にする頃にようやくです。
当時関西に住んでいたのでプジョー604の中古車を探しまくり神戸、京都、名古屋に各1台がありました。神戸の武庫川のお店にあった金色(ベージュ?)の604に一目惚れで3ヶ月通って180万円が150万円になったところで購入。サービスでタイヤをミシュランのXVSに交換して貰いました。
一見なんの変哲もない大形セダンです。でもそのコンサバティブなデザインはピニンファリーナでボディにピニンファリーナのバッチが付いています。ほとんど地味に感じるピニンファリーナのデザインですが全体の造形そのもののバランスが絶妙であることには職人芸のような感覚を覚えます。フロントフェンダーの微妙なまろやかさとエッジラインの切れは独特のモノです。一度は所有してみたいピニンファリーナデザイン、ワックス掛けが楽しくなります。
2.6Lのオートマ(当時は3速)でとにかく横幅が広い車です。当時は国産車が小型車枠に縛られていましたのでクラウンやグロリアより横幅が10cmも大きな車体は目立ちました。背も高いのですがグランドクリアランスが大きく、女性だと乗り降りに苦労したようです。最高速度は180km/h程度です。
90km/hからサイドミラーの風切り音が出始めます。試乗したときにも気がついて早速CGで調べると目立たないように書いてありました。
乗り心地はとにかく最高のフランス車。しなやかで柔らかくてしかもダンピングは効いている。当時の荒れた阪神高速の目地段差でクラウンが2〜3度上下しているところを必ず一回半の沈み込みで乗り越えていきました。サスペンションもいいけどそれ以上に素晴らしいのがシート。しかもリヤシートが最高、人に運転してもらえば、これ以上の車はないくらいです。もちろんフロントシートも普通のフランス車の水準以上です。フワフワなんですけど体重がかかって沈み込むと背中全体を包み込んでホールドしてくれます。ちょっとシトローエンDSに似た感触です。座るとその時点では柔らかいけどしっかりサポートしてくれています。出来の悪いバケットシートが木枠で囲われるのているような印象を受けるのと対照的な感覚でありながら効果は同じです。素晴らしいのは実はリヤシートの乗り心地、ほとんどの人がうたた寝してしまうくらい快適でした。家族からも一番乗り心地のよかった車と言われています。
ハンドリングも素晴らしいです。柔らかめのセッティングのフランス車の常でロールは目一杯しますが、ロールしてからのハンドリングはシビアな位に正確。さらにロールしていくとロールオーバーステアでセミトレーリングアームに支えられたリヤタイヤが滑り出します。
不思議だったのはライトの点灯動作で手前に引いてスモール下に下ろしてロービーム押してハイビームでした。
もう一つ不思議と言えばワイパーです。普通の2本式のワイパーですが、その生えているのが車体の中央部に2本並んで生えています。運転席の前に2本のワイパーが並んでいて右側は一本ワイパーのように端から端まで、左側(下側)は左端から真ん中少し先までを拭取ります。並んでいるので2本で同じ所を拭取るかのように不思議な動きをします。
エンジンは今にまで至るPRVのV6の最初のものです。オートチョークがガス作動で燃費が悪くなったり、アイドリングが安定しなかったり苦労しました。驚きべきことに以前の整備でエンジンのアースがこのオートチューク系のところに接続されていて、温まるとエンストするというとんでもない症状がありましたがディーラーの必死の探索で解決しました。その後は快調。クリープが大きいこと位しか問題ありませんでした。
そうそうエンジン関係だとファンベルトの調整が難しく、高速の渋滞で一度ファンベルトが切れて自走できなくなりました。あっという間にボンネットの隙間から白煙(水蒸気)が上がり始めて驚きながら路肩に寄せました。その後は切れることはありませんでしたが、急発進でキュルキュルとベルトが滑る音が聞こえる症状は最後まで完治できずでした。
10年目位でマフラーが錆びて折れてしまって爆音仕様になったことがあります。
あとオーバーヒート対策も不完全で夏場の信号渋滞を4回以上並ぶとオーバーヒートの徴候が出ます。604に乗っていた頃は大阪市街地の渋滞する場所と時間を知っていて回避するのはドライブの必須条件でした。郊外で走ると最高の車なのにね(^^; 。
結局、関西に住んでいる時はずっとこの車で過ごしていました。横浜に転勤になって山の上に住むようになると大きな車体を持て余し気味になったのと、流石に10年以上経つとあっちこっちのゴム系の配管が裂け始め手放す決心をしました。不思議なことに西部自動車さんがシトローエンBXを納車した帰りに下取りで持って帰る途中の上り坂でもうもうと黒煙を吐いて生き絶えたということです。自走できなくなって廃車になったと聞いています。
しかし今でも好きな車の一台ですね。
プジョー604の話をしている人の記事はこちらでした。
徒然なるままに
2016年04月17日
かつて西武自動車販売社が輸入を手掛けたプジョー604
https://minkara.carview.co.jp/userid/591647/blog/37709917/#koko